暮らしのイメージを実現できる場所を探す(土地探し)

家づくりといいますと、土地やマンションを探すところからスタートすることが一般的です。

 

すでに不動産を所有されている場合でも、

自分達にとってより良い暮らしがイメージできる環境を手に入れるために

建築場所探しからはじめられる方もいらっしゃいます。

 

特に私の場合は、「ペット共生住宅」の設計に特化していることもあり、

今住んでいる土地やマンションでは夢が実現できないので、

建築場所探しから設計監理までを依頼されるケースが増えてきました。

 

一般的な土地探しと大きく違うのが、

土地を探す前に、どんな生活をしたいのか? 生活へのこだわりは?といったことを話し合い

プランの核となる構想をまとめることからスタートすることです。

 

つまり、「暮らしのイメージを実現できる設計プランありきの土地探し」ということです。

 

ます最初に、お施主様から話を伺い、

家づくりの骨格となる設計概念を形にしてコンセプトモデルと作成します。

コンセプトモデル

 

そして、お施主様へのプレゼンを行い、同意が取れた段階で土地探しをスタートとさせました。

 

もちろん、土地探しですから交通や生活施設の利便性や周辺環境も綿密に調査した上で、

提携先の大手不動産会社と連携しながら土地購入を建築家としてサポートし、

土地購入後は設計監理業務を通じて夢の新居を完成させるお手伝いをさせていただきました。

また、所有されていた不動産も不動産会社と連携しながら販売サポートも同時に進めました。

そして、実現した家がこちらです。

建築家と一緒の家づくり

ぼぼ、コンセプトモデルがそのまま形になったような姿です。

 

このように、土地・建物探しから設計監理までをトータルにサポートできるのが

建築家と一緒の家づくりなのです。

 

 

暮らしのイメージを実現する場所を探す(中古物件探し)

家をつくる手段は新築だけではありません。

中古のマンションやビルを購入して、リフォームやリノベーションを行うことで

自分達のライフスタイルにあった暮らしが実現します。

 

現行法規に適合しているかどうか?

既存建築物の確認申請書や検査済証はあるかどうか?

なければ、その範囲内で合法的な改造はどこまでできるかどうか?

劣化具合はどうか?

構造・設備の状態はどうか?

・・・

 

中古物件を購入する際には、不動産屋さんからの提供される一般的な情報も大切ですが、

建築主さまの代理人である建築家はこのようは視点から、さらに必要な情報を不動産屋さんに求め、

暮らしのイメージの実現の可能性を探ります。

 

その情報の違いはスタンスの違いからくるものなのです。

不動産を売るのが仕事である不動産屋さんと、

お施主様の依頼により家の設計監理を行い、実際にそこで暮らせる状態までをサポートする建築家との大きな違いです。

だからこそ、土地探しや中古物件探しには建築家のサポートを活用すべきなのです。

 

ペットケアサロン併用住宅を希望されたお施主様からの依頼で、中古物件を確認した事例です。

鉄骨造ALC2階建の中古物件

長い間中華料理屋さんをされていた鉄骨造ALC2階建の中古物件です。

中華料理屋さんなので、油が付着した内装を見て、お施主様は不安そうでした。

しかし、建築家の視点は表面的なことはどうにでもなるので、建築物の性能的な部分を検討していました。

古い物件なので、図面や必要書類もありませんでしたので、構造体や階段を変更したりすることはできません。

でも構造体や外壁は問題がなさそうだったので、内装と設備を取り替える範囲での提案であれば可能である旨をお施主様に伝えました。

実測・既存図面作成からスタートし、それをベースに設計を行い模型にてプレゼンテーションを行いました。

プレゼン模型このプレゼン模型をベースに打ち合わせを行い、

若干の修正を加える内容でほぼ希望が実現することを確認し、

納得した上でこの中古物件の購入を決断されました。

実施設計、見積、工事業者さんの選定、工事監理というプロセスを経てリノベーション工事中

工事写真ですが、暗くて薄汚れた空間が、見違えるように明るく爽やかな空間に変わってきました。

お施主様もこの「リノベーション・マジック」には大変驚かれていましたが、

建築家にはボロボロに見えた既存空間を眺めながら、既にこのようなビジョンを描いているのです。

 

中古物件探しは立地や建築性能は重要ですが、表面的な見た目はあまり気にしなくても良いのです。

その重要な諸条件を勘案しながら、総合的な視点でビジョンを描ける建築家だからこそ

「リノベーション」という手段を使って夢をカタチにしてくれるのです。

 

方位

不動産情報になくてはならない大切な情報の一つに「方位」があります。
地球上に存在する限り、この方位は気候の影響を勘案する意味でもとても大切な情報なのです。

ただ、不動産情報に記載されている「方位」は何故だか重要に扱われていないような気がします。
土地を売る状態ではざっくりしたものとして考えられているようで、
以前不動産屋さんに「磁北」と「真北」の違いが理解できていない方もいらっしゃるくらいです。

実際に家を建てる際には、この「磁北」と「真北」の違いは大きな意味を持ちます。

風水や家相を考える上では「磁北」
建築基準法で使用するのは「真北」

※画像出典:iPhoneのコンパスの2種類の「北」より

そして「磁北」と「真北」には東京エリアでも約7度のズレが生じているのです。

「磁北」と「真北」のとズレを偏角といい、関東では約7度ほどずれています。

大したズレではないと思われがちですが、
日影規制、高度車線、北側斜線等の厳しい都市部ではこの小さな違いが建築計画に大きな影響を及ぼすことがあります。

土地情報を確認する際には、ぜひこの確認を怠らないようにしてください。

各種規制

都市計画道路の計画が敷地にかかっている場合
用途地域による建築規制
防火地域による建築規制
風致地区による建築制限
道路幅員による建築規制・・・

数多くの規制が関わってきます。
また、条件によってはその規制の緩和処置を活用できることもあります。

※出典:那覇市HPより/狭隘道路

建築家は事前に関係行政機関等から情報収集し、
事前に協議等を行って、敷地に関わる諸条件をわかりやすく整理してくれます。

生活に欠かせない電力を地域に運ぶ高圧線が上空を横切っている場合には
そこにも規制がかかってきますので建築制限があります。

高圧線

生活に欠かせない電力を地域に運ぶ高圧線が上空を横切っている場合には
そこにも規制がかかってきますので建築制限があります。

※画像出典:オウチーノ

 

敷地の真上を横切っていない場合にも規制がかかっている場合があるので、所轄の電力会社にて確認が必要です。

敷地のどの部分の上空に高圧線が通っているか、また、その規制影響範囲を教えてもらえます。
測量図が無い場合には測量してその情報を提供してくれます。

高圧線下の敷地はそれらの規制があるために土地価格が安くなっているので、
必要な広さを確保できる土地ならば購入することもお薦めです。
状況によっては「線下補償料」が電力会社から支払われます。

崖・擁壁

都市郊外では住宅地を得るために丘陵地を造成した場所が多く見られます。
斜面を切り盛りし、宅盤を維持するためにブロックやコンクリートの擁壁を設け
広大な宅地を開発した住宅地が成立しています。

そこで注意したいのが「擁壁」

2m以上の擁壁は確認申請(工作物)が必要で、
もちろん工事完了後に検査済証を発行してもらうことが必要ですが、
これが無い場合には、どんなに立派な擁壁も崖と見なされてしまいます。
それは自分が所有する擁壁だけでなく、隣地の擁壁まで関わってくるので注意が必要です。

その場合には、
杭をつかって崖とみなされた擁壁に荷重を負担させないとか
隣地の崖が崩れてきても耐えられるように建築を鉄筋コンクリートで造り開口部を設けられないとか
いろんな規制が加わってきます。

そうすると建築計画はもちろん費用計画にも影響を及ぼすので
建築家等の専門家のアドバイスをもらうことをお勧めします。

検査済証と構造関係の書類があると
その擁壁や地下車庫を新築建築物の基礎として活用することも可能です。

※既存の地下駐車場の一部をくり抜いてEVを取付けた例

 

ハザードマップ

ハザードマップが行政情報として提供されているので事前に活用すると良いでしょう。
また地盤調査会社から提供されている情報も合わせて確認することで
事前に災害に備えることが可能です。

浸水、土砂災害、道路規制、揺れやすさ、活断層、液状化・・・
現在わかる範囲の情報ですが、安全安心のための情報なので是非チェックしておきたいものです。

※画像出典:国土交通省ハザードマップポータルサイト
https://disaportal.gsi.go.jp/

 

旗竿敷地

首都圏、特に東京23区内の土地価格の高さは驚くほどです。
しかし、価格は売り手と買い手の価値によって決まるものなので
一般的に流通しにくい土地を上手く活用すれば、比較的安価に買い求めることができます。

例えば、旗竿敷地
旗竿と旗の関係のように、細長い延長敷地(竿)は前面道路に接していることで
建築可能な土地になるのですが、一般的な戸建て住宅でしたら、2m以上接道していなければ建築できません。

2m幅の延長敷地では、車を止めると人の通行するスペースがほとんど確保できなくなりますので
車を駐車される方は、少なくても2.5m~3m以上の幅のある土地を選ぶ方がよろしいと思います。

車を利用されない、あるいは駐車スペースは別でもいいという方は
階段状の道路に接道している敷地も選択肢にいれても良いかと思います。

しかし、工事車両が乗り入れられないために、
工事内容が制限されたり、工事費もアップするので
土地価格と建築価格のバランスを配慮することが大切です。

 

埋蔵文化財包蔵地

周知の埋蔵文化財法蔵地というものがあります。
これは埋蔵文化財を包蔵する土地として周知されている土地で
文化財保護法第93条第1項に明記されています。

一般的には市町村の教育委員会が作成する遺跡地図および遺跡台帳において知ることができますので、事前に確認しておいてください。

東京都遺跡地図情報インターネット提供サービス

http://tokyo-iseki.jp/

対象敷地が該当する場合には、届出そして試掘をおこない地中を確認することになります。

もし埋蔵文化財が見つかった場合、それを破壊する建築行為を行う場合には発掘調査を行うことになり、事業の場合には費用負担が必要になり、時間も1年から2年待たされることも多いようです。

個人住宅の場合は、自治体が調査費を負担することが多いですが、
急ぐ場合には自己負担で民間の調査会社に委託することになりますので資金計画も再検討することになります。

基礎に関わる工事が埋蔵文化財に影響を及ぼさないように計画変更することで、時間もコストもかけない方法もありますので、建築家に対応をお願いしましょう。

 

確認済証

既存の建築物や擁壁について確認申請や検査がちゃんと終了しているかどうかが
その土地や中古建築物での新しい計画にとても影響を与えます。

一般的に建築を建てる場合や工作物を設置する場合には確認申請を行い、確認済証を発行しないと建設ができません。
さらに、そのとおりに工事が行われていた証となる、検査済証の発行を持って初めて住んだり利用したりすることができます。

確認済証

リフォーム、リノベーション(大規模な修繕、増・改築)をする場合にこれらの書類がないとスムーズに新しい申請を出すことができません。
最近は規制緩和が行われ、既存の建築物のどこが不適合なのか?そこをどのように改造することによって適合することができるかを検討するプロセスが容易になってきました。

擁壁については工作物の確認済証、検査済証がないと
せっかくの擁壁が崖扱いになり、建築の基礎や外壁・開口部に制限を受けることもあるので注意が必要です。

いずれにしても、確認済証と検査済証が現存するかどうかを確認してみてください。

 

情報収集

土地探しの基本は、やはり情報収集
一般の人でもインターネットでかなりの情報を収集することができます。

しかし、インターネット情報は更新がなされていない情報も含まれているので、ネットでの情報収集は相場観を知ったり、自分の希望の目安として活用しましょう。

その情報をもって不動産屋さんに行くと、レインズという業者さんだけが活用出来るシステムで最新情報が確認できますので、相談してみることがよろしいかと思います。

インターネットでは見つけた情報がまだ成立できるものか?
あるいは、ネットでは流れていない情報をゲットすることもあります。

信頼できる建築家にお任せしたり、同行してもらうと心強いと思います♪

土地情報の見方
まずは土地価格の相場感をつかむこと

複数の土地情報を見たり、土地価格情報のサイトでざっくりと掴んでおくことです。
http://www.tochidai.info/

そうすることで、異常に安い土地を見つけた際に
その価格の背後に潜む訳を推察することができます。

例えば、都市部なのに坪単価が10万円等の表示があれば
必ず訳があるはすです。
価格が安い、長い期間売れない・・・そんな物件はしっかりと見極めることが大切です。

その訳を不動産屋さんに問い合わせてみて、納得できるものであれば
それは掘り出し物となるわけです。

例えば、このような崖地は土地価格は安いですが、建築工事費は膨れ上がります。
それでもここでの眺望は何物にも代えがたい素晴らしいものです。

土地探しに欠かせないもう一つの大切なものは
価値観なのだと思います。

目的とイメージ

土地探しで最も重要なことは、目的を明確にすることです。
家づくりのための土地探しというタイトルですが、もっと具体的なイメージを持つことです。

そのイメージとは、住まい方のビジョンと予算のことです。

しかし、一般的には希望する住まい方がその土地で可能なのかどうか?・・・
なかなかイメージ出来ないものです。

以前、ご相談いただいたことですが、
「土地を買ったのですが思ったより高くついてしまったので、建築にかけるお金が××××万円しか用意できなくなりましたが、希望の家ができるでしょうか?」という相談でした。
残念ながら、ご希望をカタチにしてあげることができませんでした。

土地を購入する前にお知り合いになっていれば・・・

やはり、おすすめの方法は「そうだ 建築家に相談だ!」

住まい方への要望を聞いた建築家は空間をイメージしながら土地情報を収集していく
もちろん実際に土地を観て周辺環境を体感することが欠かせません。
そして、可能性の高い候補地について諸条件を検討し建築家としての所見を説明し
クライアントさんの判断をサポートすることです。


特に候補が絞られてきたら、その土地でのスケッチを描いて説明することもあります。
そうすることで、そこでの生活がイメージでき、予算の可能性も見当がついた段階で買いつけを出すといいでしょう。

いよいよ候補地を購入しようという気持ちが固まってきたら、
不動産屋さんにその旨を伝えて、購入手続きに着手します。

その際に重要なことは、希望する金額に近づけるように土地価格交渉をしてもらうことです。
価格とは売手と買手の双方がいてこそ成立する価値交換システムの基準ですから、絶対的なものではありません。
ぜひチャレンジしましょう!

過去の経験上、10%程度なら可能性もあります。

良心的な不動産屋さんは価格交渉そ進めると同時に資金計画のアドバイスもしてくれます。

価格交渉が纏まってきたらいよいよ購入契約です。

購入手続きの前には、その不動産に関する重要事項説明が義務付けられていますので
仲介をしてくれている不動産会社の担当者から説明を受けます。

購入を検討している際に入手した情報と食い違いはないか?
想定外の条件等が追加されていないか?
道路、電気、上下水道、ガス等のインフラについての情報は理解しているとおりか?

疑問に思った点? 理解できない点? があった場合には遠慮なく質問して、不安を残すことないようにしておきましょう。

そういった詳細情報の説明を受け、納得してから契約書への捺印を行います。

建築家として立ち会ったり、自分でも経験しましたが、
厳かな緊張感に包まれ、夢の実現に一歩踏み出す決意を固める貴重な瞬間だと思います。

 

土地探しの目的

土地探しの目的

家を建てたい
そこで事業をはじめたい・・・

いろんな目的があると思いますが、そこで大切なのがバランスです。

立地がいい、眺望がいい、利便性がいいからといって
想定外の金額で土地を購入してしまうと、建築費に無理が生じてきて目的の達成を困難にさせることもあります。

土地探しからサポートさせていただいたケースでは
当初から、土地と建築物の価格を概ね決めてからその条件にあった土地を探し始めるようにしています。

そういった諸問題を相談できるのが建築家なのです。

 

敷地の持つ魅力を発見する

プロとして敷地購入のアドバイスをするには
敷地の持つポテンシャルを見出すことなのだと思います。

そのためには、敷地だけを見るのではなく
周辺環境
周辺から見た敷地
敷地の中から見た周辺等
視線を変えてみることがお勧めです。

ここでは敷地の高低差の高い場所から、カメラを頭の上方から撮影したところ海が見えることがわかりました。

これによって、敷地内からなら2階建ての屋上を造れば、海へのビューが楽しめそうです♪

ボリュームチェック

土地を購入する前に、自分たちがイメージする規模や構成のプランが法的に成立するかどうかを確認する過程です。
建築関連法案を熟知している建築家はそれらに対応できますので、相談するといいでしょう。

ときどき土地情報に参考プランが添付されていることがありますが、
断面情報が無いために、斜線規制等が空間にどのような影響があるのかがわかりませんので
平面図でイメージした空間が確保できないこともありますので是非とも確認したいところです。

土地購入を検討している段階では、
土地の高低差や真北(方位)に関する情報が乏しいと思いますので、
ざっくりと把握するためにスマホツールや測定を使うと便利です。

iPhoneアプリ 方位測定

 

金融

家づくりや不動産購入にはとても多額のお金が必要になります。

不動産の買い替えには
新規購入と所有不動産売買までのタイムラグを補うために、「新規ローン」や「つなぎ融資」等も検討ことも必要です。

金融の専門家ではない私の場合は
餅は餅屋ということで、ファイナンシャルプランナーや金融に明るい不動産会社の人脈を最大限に活用して、クライアントさんの希望に添えるようにしています。

建築というハードにも多くの職人さんや建材メーカーの力を結集するように
金融というソフトでも多くの専門家の力が必要です。