兆(きざし)を演出する間取り
建築を設計する際に意識しているものの一つに「兆」があります。
スロープの家シリーズを手がける中で、”動線をデザインする”ということが主題になるのですが、長い動線を移動する中で、視線の移動とともに常に景色が移ろうように空間形状や光の取入れ方に配慮して計画するのですが、重要なのは感性を刺激する何かを意識しています。
「兆」・・・気配?というか、期待?というか、移動する先や目線の先に何かを感じさせる雰囲気と言えるかもしれませんが、
曲面となる壁は向こうまで見通すことができませんが、移動すると光のグラディエーションにより風景の移ろいを感じつつも、さらに向こうにある何かを感じさせてくれるアイテムです。
スクエアな西棟(プライベートゾーン)と退避するように配置された「曲面の壁」に包まれた東棟(LDK)そしてその2棟をつなぐ動線ゾーン
移動する際には常に「曲面の壁」が意識され、閉じられたエントランスから中へと誘うとそこに広がる緑豊かな庭が視界に入ってきます。
さらに、屋上のルーフテラスへ誘う空間も「曲面の壁」の向こうにある「兆」を感じながら空間を楽しむことができます。