ペットライフの基礎知識(犬の熱中症対策)

犬の熱中症対策:ペットライフを守るために覚えておきたい基礎知識

猛暑日連続●日・・・といったニュースが日常となり、35°c以下だとほっとするようになった日本の夏ですが、いかがお過ごしですか?

気象庁の発表する気温は、風通しが良く日当たりの良い芝生の上1.5mの高さで直射日光が当たらない環境での測定によるものなので、我々が日常利用する環境、例えばアスファルトの上やコンクリート舗装の上では、もっと高温であることは間違いありません。

気象庁の観測機器

気温の観測は、風通しや日当たりの良い場所で、電気式温度計を用いて、芝生の上1.5mの位置で観測することを標準としています。また、電気式温度計は、直射日光に当たらないように、通風筒の中に格納しています。通風筒上部に電動のファンがあり、筒の下から常に外気を取り入れて、気温を計測しています。

気象庁のHPより

実際、車の温度計では40°cを超える表示も珍しくありません。
アスファルトの路面では、60°c、最近よく見かける遮熱舗装でも50°cと言われています。

↓遮熱舗装の道路(早朝のまだ暑くない時間帯なので歩行させています)遮熱舗装

 

人よりも低い位置(暑い路面に近い位置)を歩行する犬にとっては、この猛暑は我々が考える以上に厳しいものであることがわかります。
日中、素手で路面を触るとその暑さに驚きます。

注意)もっとも熱中症対策の前に、暑い路面を歩かせると肉球が火傷してしまうので、避けなければなりません。
どうしても舗装させる場合には、靴を履かせるとか、バギーに乗せるかして足(肉球)を守ってあげることは必須です。

 

1. 犬と熱中症:なぜ注意が必要なのか?

犬と人間は、体温調節の仕組みが異なります。

人間は汗をかいて体温を下げることができますが、犬は基本的に舌からの呼吸でしか熱を放散できません。このため、暑い環境下では犬が熱中症になりやすく、注意が必要です。

 

 

2. 熱中症の初期症状と重症化する前のサイン

夏の暑い日、犬が以下のような症状を示していたら、それは熱中症の初期症状かもしれません。

  • 息が荒い: 犬は暑さを感じると、舌を出して速い呼吸をします。
  • 舌や歯茎の色の変化: 正常時はピンク色であるが、熱中症時は赤くなることがある。
  • 唾液の過度な分泌: よだれが普段よりも多くなっている場合。
  • 無気力、歩行困難: 体力が尽きてきているサイン。

これらの症状を見逃さず、早めの対応が必要です。

 

3. 犬の熱中症予防:実践的なアドバイス

熱中症を予防するための基本的なアドバイスをいくつか紹介します。

  • 散歩の時間帯と場所の選び方: 早朝や夕方、日陰の多い場所での散歩がおすすめ。
  • 適切な水分補給: 長時間の散歩や遊びの前後は、十分な水を提供してください。
  • 涼しい場所の提供: 室内でも直射日光を避ける場所、冷房や扇風機の風が当たる場所を確保してあげましょう。

 

 

 

犬と熱中症:なぜ注意が必要なのか?

暑い季節になると、私たち人間も熱中症のリスクを感じますが、愛犬もまたこのリスクから逃れることができません。

では、なぜ犬は熱中症になりやすいのでしょうか?それには、私たち人間と犬の体温調節の仕組みの違いが関わっています。

 

人と犬の体温調節の違い

  1. 汗腺の違い: 人間は全身に汗腺を持っており、暑くなると汗をかくことで体温を下げる仕組みがあります。これに対して、犬は主に足裏にしか汗腺を持っていません。そのため、汗をかくことでの体温調節が難しいのです。
  2. 呼吸による体温調節: 体温を下げる主な方法として、犬はハアハアという呼吸をします。この時、舌からの蒸発によって熱を放散させることで、体温を下げようとしています。しかし、これだけでは効果的な体温調節は難しいのです。

 

犬が熱中症になりやすい理由

犬が熱中症になりやすい理由は、上記の体温調節の仕組みの違いから来ています。

  1. 効率的な体温調節ができない: 前述の通り、犬はハアハアという呼吸に頼るしかなく、これだけでは高温・高湿度の環境下での体温上昇を十分に防ぐことができません。
  2. 毛皮: 犬はもともと寒冷な地域での生活に適応した生物であり、そのための保温の役割を果たす毛皮を持っています。この毛皮が、暑さに対しては逆効果となり、熱を体内に閉じ込めてしまうことがあります。
  3. 気づきにくいサイン: 犬は感じている不調を言葉で伝えることができません。そのため、初期の軽度な熱中症のサインを飼い主が見逃してしまうことがあります。

 

このように、犬は体温調節の仕組みや生体の特性上、熱中症になりやすい生物です。

暑い日や外出時には、常に愛犬の様子を観察し、熱中症の予防策を取ることが非常に重要です。

 

 

熱中症の初期症状と重症化する前のサイン

熱中症は、犬の命に関わる症状の一つで、初期段階での対応が非常に重要です。

しかし、犬は私たちに「暑い」「苦しい」という感覚を直接伝えることができません。

そのため、私たち飼い主がしっかりとそのサインをキャッチして、適切なアクションを起こす必要があります。

 

1. 息が荒い、舌や歯茎の色の変化

暑さや体温上昇を感じたとき、犬は「ハアハア」という速い呼吸を始めます。

これは、体温を下げようとする彼らの試みです。特に舌の先や歯茎が通常の明るいピンク色から濃い赤色に変わっている場合、それは体温上昇の警告信号として捉えるべきです。

 

2. 唾液の過度な分泌や高体温

犬が熱中症を発症している可能性が高い状態の一つが、通常よりも多いよだれや粘り気のある唾液です。

また、耳の根元や脇の下を触ったときに熱く感じる、または、通常よりも体温が高くなっている場合、これは緊急を要する状態である可能性が高いです。

 

3. 無気力、歩行困難

暑さや熱中症の影響を受けている犬は、普段の元気な姿とは異なり、無気力や動きたくない様子を示します。

散歩中や遊んでいるときに急に立ち止まり、動かなくなる、あるいは、ふらつくような歩行を見せる場合、これは熱中症のサインとして非常に危険です。

犬の熱中症は、早期発見・早期対応が命を救う鍵です。上記のサインを見逃さないようにし、夏場や暖かい日には常に愛犬の体調や様子に注意を払ってください。

安全な環境での散歩や遊びを心がけることで、犬との楽しい時間を守りましょう。

 

 

犬の熱中症予防:実践的なアドバイス

愛犬との散歩や遊びは、私たちと彼らにとっての楽しい時間です。

しかし、熱い季節には、その楽しみが突然の危機へと変わってしまうことも。犬の熱中症は予防が重要です。以下に実践的なアドバイスをいくつかまとめました。

 

1. 散歩の時間帯と場所の選び方

  • 時間帯の選び方: 日中の暑さがピークとなる時間帯(10時〜16時)は避け、早朝や夕方、日が落ちた後の涼しい時間帯を選ぶことをおすすめします。
  • 場所の選び方: アスファルトやコンクリートは日中の太陽の照射を受けると非常に熱くなります。このような地面では犬の足裏が火傷をすることも。草地や土の上を選ぶ、または、木陰の多い場所を選ぶとよいでしょう。

 

散歩は気温だけではなく、路面温度の低い早朝が最適で、この時間帯は街を多くの犬連れの人が散歩しているので、人も犬もコミュニケーションを楽しむ事が出来ます。
早朝散歩

 

 

我が家の愛犬は走ることが大好きなので週末はドッグランに出かけますが、暑さ対策として、木立の多いドッグランを選んで、木陰で遊ぶようにしています。

↑木立が日陰を作ってくれるので、夏場は特に犬にも人にも過ごしやすいドッグラン

 

↑日陰がないので真夏を避け、日当たりの良さが心地よい冬場に利用する開放的なドッグラン

サイト内参考記事:”かむい”が走ったドッグラン

2. 適切な水分補給の重要性

  • 犬も私たちと同じく、暑いときには多くの水分を失います。定期的に水を提供し、特に散歩や遊びの途中や後は必ず水分を摂らせましょう。
  • 外出時にはペットボトルやポータブルの水入れを持参し、犬が喉を潤せるよう心がけることが大切です。

※水を入れたペットボトルは、暑さ対策だけではなく、路上でオシッコした後始末のためにも、犬との散歩のマナーとして持ち歩きましょう。

 

3. 涼しい場所の提供と休息の取り方

  • 家の中でも直射日光の当たる場所や通風の悪い場所は避け、風通しの良い、涼しい場所で過ごさせましょう。エアコンや扇風機の使用を検討すると良いでしょう。
  • 散歩中や遊びの最中でも、犬が休憩を取りたそうにしていたら、無理に動かさずに十分な休息をとらせることが大切です。犬のペースを大切にしましょう。

 

暑い季節でも、愛犬と楽しく、そして安全に過ごすための工夫はいくつもあります。上記のアドバイスを実践し、愛犬の健康と安全を守りましょう。

 

 

夏の外出時の注意点

夏の陽射しは心地よく、外出を楽しむのに最適な季節です。

しかし、愛犬との外出には特別な注意が必要です。

犬の体の仕組みや感じる温度は私たちとは異なるため、夏の外出時の以下のポイントをしっかりと頭に入れて、愛犬との安全な時間を過ごしましょう。

 

1. アスファルトや砂の表面温度に注意

  • 太陽が照りつける中、アスファルトや砂浜の表面温度は想像以上に高くなります。この熱い地面に犬の足裏が触れると、火傷を負う恐れがあります。
  • 外出前に、自分の手の甲で地面の温度を確認してみましょう。もし、5秒以上手を置くことができないほど熱ければ、犬の散歩は控えるか、他の場所を選びましょう。

 

2. 車内に犬を放置しないこと

  • 夏の車内は、窓を少し開けていても、驚くほどの高温になります。このような環境下で犬を放置することは、彼らの命に直結する危険があります。
  • たとえ「少しの間だけ」と思っても、犬を車内に残しておくことは絶対に避けてください。外出先での用事がある場合は、犬を連れて行くか、家に残しておくことを検討しましょう。

 

3. 適切な保冷剤や冷却アイテムの活用

  • 犬用の冷却ベストやバンダナなど、夏の暑さ対策用のアイテムは数多く市販されています。これらのアイテムは、直接犬の体を冷やすことで、熱中症のリスクを低減します。
  • また、散歩中や外出時には、冷たい水や保冷剤を持参して、定期的に犬に水分補給をさせることも忘れずに。

 

夏の外出は楽しいものですが、愛犬の安全を最優先に考える必要があります。上記のポイントを実践し、愛犬と快適な夏を過ごしましょう。

 

外部参考サイト:暑さ対策グッズ Amazon

 

熱中症になった場合の対応策

夏の暑さや運動の際、愛犬が熱中症になるリスクは増大します。

熱中症は、速やかな対応が命を救うカギとなります。

以下に、熱中症を疑う場面での緊急の対応策をまとめました。

 

1. 即座の体温下げる方法

  • 涼しい場所へ: 犬を直射日光や熱い場所から、涼しい、風通しの良い場所へ移動させましょう。
  • 水を使って冷やす: 体の表面を冷やすことで体温を下げます。水や濡らしたタオルを使い、特に脇の下や足の付け根などの大動脈が通る部分を中心に冷やしてください。ただし、氷水や冷たすぎる水は避けるように。犬の体温を急激に下げすぎると逆に危険です。
  • 風を当てる: 扇風機や風を利用して、水分の蒸発を助け、体温を下げます。

 

2. 速やかな獣医師への連絡

  • 熱中症の疑いがある場合、すぐに最寄りの動物病院や獣医師に連絡してください。
  • 状況を伝え、アドバイスを受けつつ、速やかに病院へ搬送しましょう。

 

3. 回復までのサポートとケア

  • 熱中症からの回復には、十分な休息と水分補給が必要です。暑さのピーク時には外出を控え、涼しい場所で過ごさせてください。
  • 体調が元に戻るまで、犬の様子をよく観察し、異常が見られる場合は再度獣医師の診察を受けるようにしましょう。

 

愛犬の熱中症は、飼い主の正しい知識と迅速な対応で重篤化を防ぐことができます。

暑い季節、特に外出や運動の際には、常に熱中症のリスクを意識し、愛犬の健康を第一に考えてください。

 

 

 

まとめ:愛犬との安全な夏の過ごし方

夏は暖かく、多くのアウトドア活動を楽しむのに最適な季節ですが、愛犬とともにこの時期を快適に過ごすためには、いくつかの注意点が必要です。

 

1. 熱中症の知識の定期的なリフレッシュ

  • 熱中症は犬にとって致命的な状況を引き起こす可能性があります。そのリスクを最小限にするため、熱中症の知識を定期的にリフレッシュしましょう。
  • 症状の早期発見や初期対応が、犬の健康を守るカギとなります。忙しい日常の中でも、最新の情報やアドバイスを取り入れることが大切です。

 

2. 犬の健康管理と快適な生活のためのコミットメント

  • 愛犬の健康と快適な生活は、飼い主の日々のコミットメントがもたらします。例えば、散歩の時間帯や場所の選び方、涼しい場所の提供、水分補給の習慣など、小さな日常の選択が大きな差を生むことがあります。
  • 犬とのコミュニケーションを深め、体調や気分の変化を敏感にキャッチすることで、予期せぬトラブルを避けることができます。

 

夏の楽しい時間を愛犬と共に過ごすためには、正しい知識と飼い主の積極的な取り組みが欠かせません。

愛犬との信頼関係を深めることで、安全で快適な夏を迎えることができるでしょう。

 

↑木陰を選んで遊んでいる姿は、人と一緒ですね♪

著者情報

前田 敦 / atsushi-maeda

前田 敦 / atsushi-maeda

犬と猫と快適に暮らせる社会の実現を目指して、ペット共生住宅に特化した設計活動を行っている建築家
設計作品の中でも特に注目すべきは、ペットがストレスなく自由に走り回れることを重視して設計した「スロープの家」シリーズです。これまでの住宅設計にはない新しい発想から生まれたもので、独創的なコンセプトと緻密な設計が注目を浴び、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞といったさまざまなメディアで紹介されています。

FacebookInstagram

前田 敦の専門性について

執筆・監修・報道・取材