ペット共生住宅の基礎知識(愛犬・愛猫と暮らす家の壁について)

ペットと一緒に暮らすことが増えた現代社会では、ペット共生住宅の需要が高まっています。

ペットを飼う人にとって、快適で健康的な生活環境を提供することは非常に重要です。

特に、壁材はペットとの生活において大きな役割を果たします。

しかし、どのような壁材を選んで良いのか分からないという人も多いかもしれません。

そこで、本ブログではペット共生住宅の壁について、初心者でもわかりやすく解説します。

また、壁材以外の対策方法やDIYの方法についても紹介するので、最適なペット共生住宅を手に入れるためのポイントを知ることができます。

是非、ペットと快適に暮らすための情報をご覧ください。

 

暮らしに合わせた壁材の選び方

住宅における壁材は、単に外観を飾るだけでなく、室内環境や住まいの快適性にも影響を与えます。

ペット共生住宅においては、壁材を選ぶ際にはペットの特徴や暮らし方に合わせて選ぶことが重要です。

例えば、ペットが爪で壁を引っかくことがある場合には、耐久性に優れた壁材が必要です。

また、ペットが鳴き声を出しやすい場合には、防音性に優れた壁材が選ばれることもあります。

 

壁材の種類と特徴 壁材には、以下のような種類があります。

1)クロス

一般的な壁材で、様々な柄や色があり、DIYで簡単に貼り付けることができます。しかし、耐久性が低いため、ペットにはあまり適していません。

 

2)塗り壁

左官工事により匂い強い製品やや傷に強い製品を塗ります。有孔部質の珪藻土や硬化するととても丈夫なシリカライム等がオススメです。

 

3)ウッドパネル

天然木や合板を使用した壁材で、ペットにも優しい素材として人気があります。ただし、耐水性や耐久性にはやや難があります。

 

4)ビニルクロス

防汚性や防水性があり、ペット共生住宅に適した製品もありま。また、DIYで簡単に貼り付けることができます。

 

5)タイル

丈夫で汚れに強く、メンテナンスが容易な建材です。

 

6)石

タイルと同様に丈夫で汚れに強く、メンテナンスが容易な建材です。他の建材に比べ高価になります。

 

 

ペットに合わせた壁材の選び方 ペットに合わせた壁材を選ぶ際には、以下のポイントに注意することが重要です。

1)耐久性

ペットが爪で引っかいたり、噛んだりすることがある場合には、壁材の耐久性が高いものを選ぶことが必要です。

2)防水性

ペットがおしっこをしたり、吐いたりすることがある場合には、壁材の防水性が高いものを選ぶことが必要です。

3)防汚性

ペットが汚れをつけたり、壁に擦りつけたりすることがある場合には、壁材の防汚性が高いものを選ぶことが必要です。

 

また、ペットが鳴き声を出しやすい場合には、防音性に優れた壁材を選ぶことができます。

ペット共生住宅においては、壁材の選択によってペットとの共生がより快適になるとともに、住まいの美観を保つこともできます。

適切な壁材を選ぶことで、ペットとの共同生活をよりスムーズに進めることができます。

コスト削減の方法として、ペットの傷や汚れのつきやすい腰の部分だけを耐久性、防水性、防汚性の高い建材にする方法も効果的です。

下記の写真は、床から90cmの腰高さに目地を設けて、取り替えが腰下の部分だけで済むようにしています。

大型犬に対応するために、床から210cmの高さまでを汚れや傷に強い腰壁にしています。
スロープの家 犬と暮らす家

 

 

防音性と断熱性

ペット共生住宅は、ペットと一緒に暮らすことを前提に設計された住宅であり、壁の防音性・断熱性が重要な要素となります。

ここでは、ペット共生住宅における壁の防音性・断熱性について説明します。

 

壁の防音性

ペット共生住宅では、ペットが飼い主や隣人に迷惑をかけないように、壁の防音性が求められます。具体的には、以下のような要素が考慮されます。

 

1)壁の厚み

壁の厚みがある程度あると、音の伝わりにくさが増します。一般的に、鉄筋コンクリート造の住宅ではコンクリートの壁の厚みに加えて、断熱材や仕上げ材を含めるとかなりの壁圧となりが15cm以上となり防音性が高いと言われています。

下記写真はフルリノベーション時の断熱材工事

リノベーション(断熱)

2)間仕切りの設置

ペット共生住宅では、ペットと飼い主が同じ部屋で過ごすことが多いため、リビングなどの大きな空間を仕切るための間仕切りが設置されることがあります。間仕切りを設置することで、ペットが騒いでも音が伝わりにくくなります。

 

3)防音材・吸音材の使用

壁に防音材・吸音材を使用することで、音の反射を抑えたり吸収することができます。例えば、壁に吸音ボードを貼ったり、防音材を充填することで壁の防音性を高めることができます。
地域や構造に応じて適切な材料を専門家に選んでもらうと良いでしょう。

 

壁の断熱性

ペット共生住宅では、ペットが快適に過ごせるように24時間エアコンを作動させていることが普通なので、壁の断熱性が求められます。

 

具体的には、以下のような要素が考慮されます。

1)断熱材の使用

壁に断熱材を使用することで、冬は暖かく、夏は涼しい部屋を保つことができます。高性能グラスウール、セルロースファイバー、ウレタンフォームなどが使用されます。

 

2)間仕切りの設置

間仕切りを設置することで、部屋を小さくすることができ、断熱性が高まります。また、間仕切りを設置することで、冬でもペットが快適に過ごせる温度帯を作ることができます。

 

3)窓の断熱性

窓には、大きな熱の損失があるため、ペット共生住宅では、窓の断熱性が重要な要素となります。

・二重窓の設置

二重窓を設置することで、室内と室外の間に空気層を作り、熱の伝導を抑えることができます。また、防音効果も期待できます。

・Low-Eガラスの使用

Low-Eガラスは、紫外線をカットするため、室内の温度上昇を抑えることができます。また、夏は外部の熱を反射し、冬は室内の熱を反射するため、四季を通じて快適な室内環境を保つことができます。

・窓枠の断熱性

窓枠には、隙間から熱が漏れることがあるため、窓枠の断熱性も重要です。一般的に、窓枠に断熱材を使用することで、熱の漏れを抑えることができます。

リノベーション(断熱・防音)

以上のように、ペット共生住宅においては、壁の防音性・断熱性が重要な要素となります。

経験豊富な建築家に相談して、ペットが快適に過ごせる住宅を設計・建築することをおすすめします。

 

壁材以外の対策方法

壁材以外の対策方法

ペットと共に生活する際には、壁材以外の対策も必要です。

壁材以外の対策方法としては、フロアマットやカーペットなどの敷物を使用することが挙げられます。

ペットがよく行き来する場所には、敷物を敷くことで、ペットの爪痕や汚れを防ぐことができます。

また、ペットの排泄物の拭き取りや、トイレ周りの清掃なども定期的に行うことで、ペットの汚れを予防することができます。

 

防音・遮音対策

ペットは、走り回る音や鳴き声が大きいことがあります。

特に、上階の住人には、足音や物音が響いてしまうことがあります。

このような場合には、防音・遮音対策を行うことが有効です。

防音・遮音対策としては、壁材の選択だけでなく、ドアやカーテン、ブラインドなどを活用することができます。

また、ペットの鳴き声や走り回る音を抑えるために、家具の配置や間取りの工夫も重要です。

 

消臭・防臭対策

ペットの体臭や排泄物の臭いは、住環境に悪影響を及ぼすことがあります。

ペット共生住宅では、消臭・防臭対策が必要です。消臭・防臭対策としては、消臭剤や防臭剤を使用することが挙げられます。

また、加湿器や空気清浄機を活用することで、室内の空気を清潔に保つことができます。

ペットのトイレ周りの清掃や、排泄物の処理も、消臭・防臭対策につながります。

 

ペットの爪痕や汚れに対する対策

ペットは、壁や家具に爪を立てたり、汚れをつけたりすることがあります。

このような場合には、ペットの爪痕や汚れに対する対策が必要です。

ペットの爪痕や汚れに対する対策としては、ペットが爪を立てる場所には爪とぎ用のクレートやスクラッチポストを設置することができます。

また、ペットの爪痕や汚れに対する対策として、フローリングには耐久性の高い木材や合板などを使用することがおすすめです。

さらに、フローリングにはニスやワックスなどのコーティング剤を塗ることで、ペットの爪痕や汚れに対しても強い耐久性を発揮します。

また、敷物やマットを使用することで、フローリングに直接ペットが爪を立てたり、汚れをつけたりすることを防ぐことができます。

 

 

消臭・防臭対策については、ペット専用の消臭剤や防臭剤を使用することがおすすめです。

また、定期的に換気を行うことで、室内の空気を入れ替えることができ、部屋の中のニオイを軽減することができます。

さらに、ペットが汚れをつけてしまった場合は、速やかに清掃することで、ニオイの発生を防ぐことができます。

以上のように、壁材以外にもペットとの快適な共生生活を送るためには、様々な対策が必要です。

ペットが自由に過ごせる空間を作り、清潔を保つことで、快適な共生生活を実現しましょう。

 

 

DIYでできる簡単なペット対策

ペット対策は、DIYでも簡単に取り入れることができます。以下では、DIYで簡単にできるペット対策を紹介します。

 

マルチカバーの利用

ペットが座る場所や寝床などに、マルチカバーを利用することで、ペットの汚れや毛を防ぐことができます。マルチカバーは、洗濯機で簡単に洗えるため、清潔を保ちやすいのが特徴です。また、ペットが噛みついたり、引っ掻いたりしても、比較的耐久性があります。

 

壁に貼るシートの利用

ペットが壁に爪を立てたり、擦りつけたりすることを防ぐために、壁に貼るシートを利用することができます。壁に貼るシートは、ペットが引っかいても傷つきにくく、簡単に貼り付けることができます。また、シートにはさまざまなデザインや色があるため、おしゃれなインテリアとしても利用することができます。

 

壁紙の張り替え方法

ペットが壁紙に傷や汚れをつけた場合は、壁紙の張り替えを行うことができます。壁紙の張り替えは、DIYでも簡単に行うことができます。まずは、壁紙をはがすための剥離剤やはがし器を用意し、古い壁紙を丁寧にはがします。次に、壁紙を貼るための接着剤を壁に塗り、新しい壁紙を貼り付けます。最後に、壁紙の隅や端を丁寧に切り揃え、完成です。

以上のように、DIYで簡単にできるペット対策は、様々な方法があります。ペットとの快適な共生生活を送るために、自分に合った対策を取り入れてみましょう。

 

おわりに

ペット共生住宅において、壁材の選択や対策方法を含め、様々な要素が重要です。

ペットの飼い主であるなら、愛犬や愛猫と快適に過ごすために、しっかりと準備しておきたいものです。

まず、壁材に関しては、ペットの性格や特性に合わせて選択することが大切です。

また、耐久性にも注意が必要で、ペットによる爪痕や汚れに強い壁材を選ぶようにしましょう。

 

壁材以外の対策方法としては、マルチカバーや壁紙の張り替え、シートの利用などがあります。これらの方法は、DIYで簡単に取り入れられるので、手軽にペット対策を行いたい方にはおすすめです。

最適なペット共生住宅を手に入れるためには、ペットの性格や特性、家族の生活スタイルを考慮して、慎重に計画することが必要です。

さらに、専門的知識の豊富な設計者に相談することも有効です。

 

ペット共生住宅においては、ペットと共に過ごすための環境整備が大切です。

愛犬や愛猫と快適に過ごすために、適切な壁材や対策方法を取り入れ、最適なペット共生住宅を手に入れましょう。

著者情報

前田 敦 / atsushi-maeda

前田 敦 / atsushi-maeda

犬と猫と快適に暮らせる社会の実現を目指して、ペット共生住宅に特化した設計活動を行っている建築家
設計作品の中でも特に注目すべきは、ペットがストレスなく自由に走り回れることを重視して設計した「スロープの家」シリーズです。これまでの住宅設計にはない新しい発想から生まれたもので、独創的なコンセプトと緻密な設計が注目を浴び、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞といったさまざまなメディアで紹介されています。

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前田 敦の専門性について

執筆・監修・報道・取材